Welcome to our adolescence.

けいおん！！　第20話「またまた学園祭！」

脚本：村元克彦　絵コンテ：石原立也　演出：米田光良　作画監督：門脇未来　楽器作監：高橋博行


放課後ティータイムの集大成！
最後の学園祭ライブはみんなで作り上げたライブでした…。

そんなわけで、待ちに待った学園祭のライブ回。
ほぼ、ライブパートだけで描ききってしまったのには正直驚きました。
これまでの前例もありましたし、何よりこの作品は軽音部の日常を描く作品なのだから…。
だからこそ、最後の学園祭ライブ→ライブ終了後の部室でのやりとり…というものをここまでドラマチックに描いてくるとは思ってもいませんでした。

冒頭で「みんなで作り上げたライブ」と書いたように、今回の放課後ティータイムのライブは多くの人が関わる（参加する）こととなるライブでした。
クラスメイトの掛け声や合いの手なんてものが印象的でしたが、これはこれまでのライブでは描かれてこなかったものであって、学園祭での劇を皆で作り上げた…というのが描かれてきたからこそなんでしょうね。
3年生では皆が同じクラスになる→必然的にクラスでの描写が多くなる→クラスメイトを描く機会が多くなるので詳細な設定を決める必要がある・・・という制作上の過程があったからこそ、クラス全体で作り上げる学園祭の劇というものも描かれ、その延長線上で皆で作り上げるライブというものも描かれたのではないのでしょうか。
なんとなく、クラスメイトの詳細な設定がなされた時点でこうなることまで決められていた気すらしてきますね。

そして、軽音部とそこに関わりのある人々との絡み。
メンバー紹介なのに、なぜかメンバーではない人まで紹介していく…。
ライブでそんなことするの？と思いますが、この回り道の仕方が実に唯らしいです。
唯の性格だからこそ多くの人の世話になっていて、唯だからこそお礼を言おうとしてしまう。
そこからの「みんなみんな本当にありがとう！」という言葉ですよね。
本当に彼女らしさが滲み出ているMCだったのではないのでしょうか。
もちろん、グダグダな面も含めて(笑)

唯に限らず、ライブのMCではそれぞれの“らしさ”が出ていたと思います。
メンバー紹介で自分のことを忘れていた唯。
そこから各々メンバーが唯について一言ずつ紡いでいく…。
やっぱり驚かされました。だってこのドラマチックな演出が「けいおん!!」らしくないんですものｗ

「放課後ティータイムは いつまでも いつまでも 放課後です！」
こんな言葉に会場がポカーンとしてしまうわけですが、よくよく考えてみるとなかなか的を得た言葉だったりするんですよねｗ
このバンドの面々はいつまでも放課後であり続けたいという願いと、このメンバーが集めればどこでも放課後のような空間が広がっていく…と。
ちょっとびっくりするほどに彼女の想い…というものが込められた言葉なのだと感じました。
もちろん、何の言葉のオマージュかは言うまでもなくｗ

ライブシーンは…確かに作画は1期12話より迫力に欠けるかもしれません。
けれど、このライブらしい「みんなで盛り上がる」楽しい雰囲気がしっかりと描かれています。
だからこそ、あの時のような全力で本気で！というような歌唱シーンは盛り込まれていなかったのはないのでしょうか…いや、そんな気がします。
唯と澪のアイコンタクト、なんてのもちょっとした部分ではありますが良かったですねー。

…むしろ、我々も一緒に参加しているかのような錯覚に陥ってしまうような映像には感服です。
Bパート冒頭でドアから体育館へと入場するカメラワーク。
「ふわふわ時間」の終わりと共に、我々は完全にTシャツを手にライブへと足を運んだ客となっているのです！
一つの画面にはキャラクターが複数映るカットが多かったり。
これは遠目で客席から見ている…そういわゆる観客目線に近いものですよね。
観客目線で描きつつ、キャラそれぞれもしっかり見せてくれて抜かりはありません。
コンテは石原立也氏。完全に我々を放課後ティータイムのライブへといざなってくれました！

そしてそして、部室でのやりとりですよ。
ライブが終わって、夢ごこちで、けれども終わったという現実と向き合わなくちゃいけなくて。
そこから溢れ出す彼女たちの涙にはもらい泣きせざるをえないじゃないですか！
彼女たちがこれまで必死に練習してきた？してきてない？そういうことじゃないんですよ。
今を楽しもう楽しもうと生きてきた彼女たちがいよいよ現実を見なければならなくなる儚さ。
大人にならなくちゃいけない場面なのに、子供のように駄々をこねて泣く紬に唯。大人ぶってきたけれども泣いてしまった澪と、自分らしく励まそうとしたけれどやっぱり涙が溜まってしまっている律。
もうね、このシーンの切なさときたら…なんと表現すればいいのか…。
個人的には紬の泣き方にはグッとくるものがありました。
お嬢様らしさというものがほとんどなくなって、ただただわがままな子供のように泣く姿。
彼女が軽音部という場所をどれだけ気に入っていて、どれだけ大事にしているのか…というのが痛いほど伝わってくる涙でした。
あの涙は大人にならなくちゃいけない彼女たちのせめてもの抵抗なのかもしれませんね。。。

ライブシーンも良かったですが、終盤でのこの部室でのシーンがあったからこその今回です。
みんなで作り上げて大成功となったライブと、大人にならなくてはならない少女達。
なんとなく、少女が大人の怪談を上っていくのを見ている。
…そんな気分にもさせられ、ちょっぴり視聴者側もセンチにさせました(笑)


とにかく、終わってみれば非常に素晴らしい回でした。
「放課後ティータイムのライブ」をしっかり描いたこと、そして彼女たちがどのようにしてライブ後の現実と向きあっていくのか…。
確かにけいおんらしくはない回かもしれませんが、観終わった後での強烈なインパクトと感動はこれまでの比ではなかったような気がします。
確かに「おや？」と思ってしまう部分もありましたが、今回に関してはやっぱり直感的に見終わった後の「良い回だった！」という気持ちを優先して記事を書いてみました。

悔しいなぁ…。
もっともっと書きたいことがいっぱいあったはずなのに、時間と共にそれが風化していってしまっているようでして…。
Twitterで、「書くのだとしたら、感情の赴くままに書き殴りたい気分。あんまり理屈で捏ねくり回したくないよね」とかいうことを書いていましたが、結局ほぼ平常運転なのが私のブログですｗ
今回の話を見終わって、自分は何が言いたかったんでしょうか…。
とにかく、自分にとって今回は特別な回になった…なんてことが伝われば嬉しく思います。

私はりっちゃんが好きです。大好きです。
けれども、今回はりっちゃん贔屓はしたくないなー…と思ったり。
それくらいメンバー各々が魅力的な回だった気がします。
そのキャラを好き好き言いすぎて他のキャラの良さが見えなくなってしまうようでは、作品自体をより楽しむことができなくなってしまいますからね…。
もちろんりっちゃんも素敵でしたよ。ええ。
けれども、それに優劣をつけることができないくらいメンバーも素敵でした。
ホント、メンバーの良さを挙げたらキリがない…とまで言うのは大げさかもしれないけれども、そう言ってしまえるくらいに各々の魅力が発揮されている回だったのではないのでしょうか。


〔↓気に入ってもらえたら、一押ししてくれると感謝です〕





けいおん!!(第2期) 1 (Blu-ray 初回限定生産) [Blu-ray]
けいおん!!(第2期) 2 (Blu-ray 初回限定生産) [Blu-ray]
けいおん!!(第2期) 3 (Blu-ray 初回限定生産) [Blu-ray]

TVアニメ「けいおん! ! 」キャラクターイメージCDシリーズ 「けいおん! ! 」イメージソング 平沢唯
TVアニメ「けいおん! ! 」キャラクターイメージCDシリーズ 「けいおん! ! 」イメージソング 秋山澪

けいおん!放課後ライブ!!

関連記事

• 『けいおん!!』 Blu-ray 第２巻 スタッフコメンタリーまとめ
• けいおん！！　第20話「またまた学園祭！」
• けいおん！！　第19話「ロミジュリ！」

テーマ:けいおん！！ - ジャンル:アニメ・コミック